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2025/04/16(Wed)14:04
そこに在ればいい。
2025/04/16(Wed)14:04
2008/07/10(Thu)20:29
長く生きる夜
深い森の下で、さまよう
微かに緑を視ながら
足音を心に落とし 亡霊のように
肌寒い
湿った木々の匂い
手の平が 何も掴めない感覚
何処でも無い場所から聞こえてくる虫の声は
体をすり抜け
薄い不安が 森の空気に広がる
そうして、生きた静寂は眠る
目を閉じると
内側の視界が溶けて
外側の暗闇へ、意識が歩く
聞こえるはずのない足音が 雨音のように響く
その響き、長い森の夜に沈む頃
形無き足が佇んだ
月明かりの届く、木々の無い土の場所
風化した木片に浮かぶ影
まだ座れるような椅子や
人の形をした草むら
腕の位置に散らばる 数枚の写真
そうして
僅かに残った感情が目を開いた
家のあった場所
動かない瞼の彼等は
あぁ 生きていただろうか 。
No.19|詩|Comment(0)|Trackback()
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