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雨の香り。

そこに在ればいい。

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2017/12/12(Tue)22:48

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幻想(仮)

2010/11/19(Fri)01:59

花畑を見つけた
長く住んだこの町に とうとう私の居場所は無くなってしまったが
運河の如く 繚乱の花畑は敷き詰められていた
 
感動を抑えきれぬ私は
とにかく急いで家に帰った
言葉に詰まりながらも見たものを伝えたが
妻は私を叱るばかりで、そのうち子供のような泣き方をして、座り込んでしまう 
もう一度だけ伝える
ただ、乾いた風が吹くだけであった
 
鏡のような満月の夜
あの花畑のことを思い出した
今頃は、月明かりに照らされてとても綺麗だろう
私はまた、こっそりと抜け出した
 
澄んだ空気を味わいながら、酔ったように歩いているうち、私は見つけた
 
街を縫うようにして広がる花畑は 月明かりを受け 輝く海となり
風に吹かれ舞い上がる花弁は まるで煌く水しぶきのようであった
揺れる花々は波のよう 葉擦れの音は、静かに波打ち寄せる音を思わせた
 
私は花の海を泳いだ
一匹の魚になった様に 幾度も水面を跳ねた
何もかもが 吸い込まれていくような心地であった
 
月が陰る頃
波は引き 浜にたどり着いた
私は空を仰ぎ ひとつの花の香りもしないことに気づいて
凍えるように 震えていた。
 
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