暮れていく村に
佇む少女
収穫の終えた田畑は広がり どこか荒廃した空気を醸している
無邪気な笑い声が耳元を通り過ぎていく
蛙を突付いて遊ぶ子供達
少女は見ている
夕陽を身に受け 胸の内の蔑みを焼く
焦げた臭いのする
煙が
畑の隅でのぼって
風に乗り 消える
カラスが鳴いて 小さな影が橙色の上を滑っていく
雲の影に吸い込まれては現れ 何れ遥かに見えず
夕陽の向こうへ飛んでいく
視線を戻すと 子供達はもう居ない
残された蛙が 行き場を失ったように跳ねながら
虚しさを零すだけ
少女は 佇んだまま
焼け残った蔑みの燻りを
吐き出せずにいる
蛙を突付かないくらいでは
何も守れない。
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