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雨の香り。

そこに在ればいい。

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2024/03/29(Fri)20:41

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火葬された思い出。

2008/09/23(Tue)20:43

夕暮れ時
ワイン漬けの私はふらふらとあても無く歩いていた
今朝 知人が死んでいたような記憶があるが
酔いの所為か はっきりと思い出せない

紅葉の絨毯の下
見え隠れする石畳の並木道を
躓きながら歩く
乾いていない喉を
無駄に潤そうと、瓶をかかげるも
ほとんど口に入らず
白いシャツは赤く染まってしまった

足取りも目線も定まらない
妙な形の月と思っていたら
躓いて掴んだ柱の上 背の高いただの外灯であった
小さく溜息をついた後 何か焦げた匂いに気が付く

私はまた ふらふらと歩き始める


そのうち 壊れた教会のある
広い焼け跡にでた


屋根は無く、外壁は崩れ、ただ風が吹いている
椅子の形の炭や
何であったかわからない木片
余りにも細い木になって残った
扉であったであろうというそれを見た


そして私は
何時からであろう その教会の中に居た


崩れていたはずの外壁は重厚に聳え立ち
姿の見えなかったステンドグラスが規律よく並ぶ
無いはずの天井の下
艶やかに光を放つ茶褐色の椅子達には
光無い人達が座り
皆 教壇に立つ、裸の子供を見つめている

その顔をもっと近くで見たいと
また ふらふらと歩きはじめ、

歩きはじめようと 足を踏み出した時

突然 何かが割れる音が
大きく響いた


降り注ぐ硝子片
ステンドグラスの一つが無くなっていた
割れた位置に近い椅子の彼等は
その体で雨を受け 血を流している
赤くなりながら 裸の子供を見つめている

私が足を進めるごとに
ステンドグラスは割れ
彼等は赤く染まっていく
誰とも目が合わないことが
私を現実に留めていた


あの紅葉に代わり
今は硝子屑が 床を彩る
私が子供の前に立つ頃には
全てのステンドグラスが無くなっていた



あぁ 少女であった
道化師の化粧をしていたようだが
剥げてしまっている
僅かに下を向き
虚ろな目を 遅いリズムで瞬いている

美しかった
私は彼女の美しさに恋をした

体の中の小さな炎が
服に染み込んだワインに引火して
やがて教会も包み込んだ
悲しいほどによく燃えた

私達はその場で式を挙げた
キスをし、
手を繋いだ
私達は抱き合った


私は泣いた


あぁ あぁ 死んだのは 彼女であると。

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Comment

お邪魔しまっす♪

2008/09/23(Tue)23:46


何か新しい事を挑戦中のようですね、善きかな^^

そんなぴぴぷるさんにアドバイス。
詩極への感想に書くには長すぎるし堅苦しいので
こちらへ。


説明的な文章と描写の深い文章は似て非なるもので
端的な文章と抽象的な文章はまた別物。です。
詩は活字を媒体とした表現方法であるけれど
小説でもなければ手紙でもなければ作文でもない
ではナニだというのか…。

自分で出した問いの、今のところの答えとして
水瀬は、詩は楽譜だと思っています。
「ドレミ」の音階の代わりに
意思を持つ「いろは」で創る音楽
「あ」にも「い」にも、意味と意思と表情があり
その上で音がある
それを連ねて楽譜を創る、のが水瀬の詩。
雲を掴むような話だけれども。。。
でもこれは、あくまで水瀬史樹としての答え。
ぴぴぷるさんには、ぴぴぷるさんなりの答えが
きっとどこかにあるはずです。

太宰治は詩を遺書だと書いた
谷川俊太郎は詩を起きてしまって見損なった
夢の続きと書いていた
あるものは昆虫採集と応え
あるものは飛沫(しぶき)と応えた

ちょっと真面目に語り過ぎてしまった感がありますが(苦笑
応援してますよ(^-^)o

ではまたどこかで…♪

No.1|by 水瀬史樹|URLMailEdit

無題

2008/09/24(Wed)00:13

俺の場合は単に「映像」なんです。
頭に浮かんだワンシーンから膨らませた映像作品(頭の中にある)を、詩に書き写しています。
詩とはなんたるか、と言われると、何も言えませんが、お前の詩をどんな風に書いている、と言われれば映像を映していると言えます。
この癖で、他の人の詩もそんな感じで読むからいけない。

>説明的な文章と描写の深い文章は似て非なるもので

いや、まったくその通り。
うーむ。どうしたもんだか。
まぁ、あと2、3作書けば、そこら辺はましになるように思います。うひ。


次はもっと凄いの書きます。

No.2|by ぴぴぷる。|URLMailEdit

Comment Thanks★

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