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雨の香り。

そこに在ればいい。

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2017/12/12(Tue)22:46

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三つの花。(手直し版)

2008/08/24(Sun)00:32

入り口の無い廃墟の前
私は屍に足をかけている
 

三階の辺り
三つの窓のうちの
一つの窓の隅にある鉢に
枯れかけの花が垂れている
鉢は焼けた風を受け 不安定な音を立てている


下に無数に散らばっている瓦礫
花が枯れ 花弁が全て散った時 あの鉢もそうなるのだと
私は、元から知っていたように 感じ 理解した 
 
 

太陽が眩しい
手で影を作ろうにも 小さすぎていけない
今はカタカタと 音だけが聞こえてくる


私は屍の上に立っている
足元より少し先の
白濁を飲み込んだ眼球がこちらを視ている
私達は見詰め合い
私だけ目を逸らした



太陽は雲の向こうに
辺りは薄い影に包まれていく
 

縁の鉢から、ゆっくりと降る 枯れた花弁

それを視た私は
ゆっくりと 澄んだ絶望に心を委ねた




やがて 二羽の烏が来て
私達の頭上で円を描いて飛ぶ
姿を現した太陽が 彼等の黒をさらに濃いものにする



遠く 遠くから聞こえる足音
低く 低く響く


 

あぁ 時間がたって
あの烏の姿が影と融けてゆくまで
 

次の朝、二つの屍のうち
どちらも「私」で無いように
今はただ目を焦がす
 


二つ目の鉢
二つ目の花を想う。
 

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