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雨の香り。

そこに在ればいい。

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2024/05/20(Mon)09:17

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三つの花。(手直し版)

2008/08/24(Sun)00:32

入り口の無い廃墟の前
私は屍に足をかけている
 

三階の辺り
三つの窓のうちの
一つの窓の隅にある鉢に
枯れかけの花が垂れている
鉢は焼けた風を受け 不安定な音を立てている


下に無数に散らばっている瓦礫
花が枯れ 花弁が全て散った時 あの鉢もそうなるのだと
私は、元から知っていたように 感じ 理解した 
 
 

太陽が眩しい
手で影を作ろうにも 小さすぎていけない
今はカタカタと 音だけが聞こえてくる


私は屍の上に立っている
足元より少し先の
白濁を飲み込んだ眼球がこちらを視ている
私達は見詰め合い
私だけ目を逸らした



太陽は雲の向こうに
辺りは薄い影に包まれていく
 

縁の鉢から、ゆっくりと降る 枯れた花弁

それを視た私は
ゆっくりと 澄んだ絶望に心を委ねた




やがて 二羽の烏が来て
私達の頭上で円を描いて飛ぶ
姿を現した太陽が 彼等の黒をさらに濃いものにする



遠く 遠くから聞こえる足音
低く 低く響く


 

あぁ 時間がたって
あの烏の姿が影と融けてゆくまで
 

次の朝、二つの屍のうち
どちらも「私」で無いように
今はただ目を焦がす
 


二つ目の鉢
二つ目の花を想う。
 

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No.27|Comment(0)Trackback

感傷の痂。

2008/08/16(Sat)00:09

みないってしまう

それはまた私に変化を与え
彼等には憂いを与えるかもしれない

それを美しいこととする私の意識と

ただ辛いと想う私の心が

空気を通して 感じ合っている


言葉と愛で彼等を側に留めることは
ただ悲しく

彼等が唯一であると
伝えることも

それを仄めかすようで悲しい




みないってしまう



それを 美しいと。







No.25|Comment(2)Trackback

三つの花。

2008/08/13(Wed)17:33

私は屍の上に立っている
入り口の無い廃墟の前で
焼けた風が吹く
 

三階の辺り
三つの窓のうち
一つの窓の隅に在る鉢から
枯れかけた花が垂れている
 

ただ 太陽が眩しい故 
 余り上を見ていられない




汗は淡白な音を立てて落ち
屍に染みが出来る  やがて消える
 

足元より少し先の
白濁を飲み込んだ眼球がこちらを視ている
私達は見つめ合い 
私だけ目を逸らした




太陽は雲の向こうに
辺りは薄い影に包まれていく
 

縁の鉢から降る 干乾びた花弁
ゆっくりと落ちて来るそれを視た私は
 

ゆっくりと 澄んだ絶望に心を委ねた


 


やがて2羽の烏が来て
私達の頭上で円を描いて飛ぶ
姿を現した太陽が 彼等の黒をさらに濃いものにする



遠く 遠くから聞こえる足音
低く 低く響く


 

 あぁ 時間がたって
あの烏の姿が影と融けてゆくまで
 

次の朝、二つの屍のうち
どちらも「私」で無いように
今はただ目を焦がす
 


二つ目の鉢
二つ目の花を想う。
 

No.24|Comment(2)Trackback()

安らかに。

2008/07/10(Thu)20:29

長く生きる夜
深い森の下で、さまよう
微かに緑を視ながら
足音を心に落とし  亡霊のように



肌寒い
湿った木々の匂い
手の平が 何も掴めない感覚
何処でも無い場所から聞こえてくる虫の声は
体をすり抜け
薄い不安が 森の空気に広がる


そうして、生きた静寂は眠る




目を閉じると
内側の視界が溶けて
外側の暗闇へ、意識が歩く

聞こえるはずのない足音が 雨音のように響く

その響き、長い森の夜に沈む頃



形無き足が佇んだ
月明かりの届く、木々の無い土の場所




風化した木片に浮かぶ影
まだ座れるような椅子や
人の形をした草むら
腕の位置に散らばる 数枚の写真



そうして
僅かに残った感情が目を開いた





家のあった場所




動かない瞼の彼等は
あぁ  生きていただろうか 。

 

No.19|Comment(0)Trackback()

夜浅く。

2008/06/30(Mon)22:18

若い暗闇が歩く
情を含んだ冷たい湿り
体無きことの憂い
そんなことを 霧雨にして
ただ、静かに



その くすんだ吐息
昇る

くすんだ青色の





無き音の音
その響きに耳を澄ましながら
若い暗闇は過ぎていく

 







あぁ   。



No.17|Comment(0)Trackback